マネイロ

オルカンに為替ヘッジあり商品はある?為替リスクとの向き合い方を専門家が解説

オルカンに為替ヘッジあり商品はある?為替リスクとの向き合い方を専門家が解説

投資信託2026/07/07

    »あなたのリスク許容度に合った投資を無料診断 

    オルカンに為替ヘッジありの商品はある?」「円高になるとオルカンはどうなる?」「為替リスクが心配だからヘッジありを選ぶべき?」と悩んでいる人も多いのではないでしょうか。

    全世界株式(オール・カントリー)に連動する投資成果を目指すインデックスファンド「eMAXIS Slim 全世界株式(愛称:オルカン)」は、世界中の株式に分散投資できる人気の投資信託ですが、為替ヘッジは行われていません

    そのため、投資成果は株価の値動きだけでなく、円高・円安の影響も受けます。

    本記事では、オルカンに「為替ヘッジあり」商品が存在しない理由を検証し、為替ヘッジなしのメリット・デメリット、為替リスクとの向き合い方について、資産運用のプロがわかりやすく解説します。

    この記事を読んでわかること
    • オルカン(※「eMAXIS Slim 全世界株式」の愛称)に「為替ヘッジあり」商品はない
    • 「為替ヘッジなし」は、ヘッジコストがかからない一方、円高になると、リターンが目減りする可能性がある
    • 為替リスクを抑えたい場合、円建て資産やヘッジありの先進国株式ファンドとの組み合わせが有効


    投資信託の選び方・運用法が気になるあなたへ

    マネイロでは、資産運用の不安を解消するために、さまざまなツールを無料でご提供しています。

    3分投資診断:iDeCoやNISAなど、相性の良い資産運用がわかる

    事例付きで株価暴落対策が学べる:スマホで簡単!30分の無料セミナー

    ファンドアナリストが語る2026年の投資信託選び:投資信託選びを解説するWebセミナー

    オルカンに「為替ヘッジあり」はない

    「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」、通称オルカンは、日本を含む先進国や新興国の株式に幅広く投資するファンドです。そのため、米ドルやユーロなど、複数通貨の為替変動の影響を受けます。

    一方で、オルカンは原則として為替ヘッジを行わない商品設計になっており、「為替ヘッジあり」の選択肢はありません。主要な全世界株式ファンドでも「為替ヘッジなし」の商品が一般的です。

    では、なぜ為替の影響を抑える「ヘッジあり」の選択肢が用意されていないのでしょうか。背景にはオルカンの商品性が関係していると考えられます。

    オルカンは原則として為替ヘッジを行わない

    オルカンが為替ヘッジを行うかどうかは、運用方針を確認するとわかります。オルカンの場合、運用方針に「原則、為替ヘッジは行わない」と明記されており、為替変動の影響を抑える「為替ヘッジあり」の商品として設計されていません。

    為替ヘッジとは、外貨建て資産に投資する際、為替リスクを回避・軽減するための投資手法です。

    オルカンは、日本を含む世界中の株式に投資を行いますが、投資対象の多くは米ドルやユーロなどの外貨建て資産です。そのため、円安や円高といった為替の動きも、オルカンの基準価額を変動させる要因になります。

    (参考:eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)〈愛称:オルカン〉 | 投資信託 | 三菱UFJモルガン・スタンレー証券

    主要な全世界株式ファンドも「為替ヘッジなし」が一般的

    オルカンだけでなく、他の運用会社が提供する主要な全世界株式インデックスファンドでも、為替ヘッジを行わない商品設計が一般的です。

    一方で、S&P500などの米国株式指数や先進国株式指数に連動するファンドでは、「為替ヘッジあり」と「為替ヘッジなし」の両方が用意されているケースがあります。

    為替ヘッジの有無に関しては、商品名だけで判断せず、目論見書や販売会社の商品説明で確認することが大切です。

    参考|オルカンの組入地域比率

    オルカンが為替変動の影響を受ける理由は、資産構成にあります。

    オルカンは全世界の株式に投資するファンドですが、オルカンのベンチマークである「MSCI ACWI(オール・カントリー・ワールド・インデックス)」が時価総額加重型のため、株式市場の規模が大きい国や企業ほど組入れ比率が高くなります。

    2025年4月末時点のデータを見ると、国・地域別の構成比率は以下のようになっています。

    国・地域

    組入比率

    組入比率

    米国

    組入比率

    63.1%

    日本

    組入比率

    5.0%

    英国

    組入比率

    3.4%

    カナダ

    組入比率

    2.8%

    フランス

    組入比率

    2.6%

    その他

    組入比率

    23.1%

    (参考:eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)〈愛称:オルカン〉 | 投資信託 | 三菱UFJモルガン・スタンレー証券

    図を見ると、資産の約6割を米国が占めており、円建て資産は約5%にとどまります。つまり、資産の大部分が米ドルをはじめとする外貨建てであるため、為替レートの変動が基準価額の変動要因になります。

    なぜオルカンに為替ヘッジあり商品がない?考えられる理由

    オルカンに為替ヘッジありの商品が用意されていない背景には、低コストで長期分散投資を行うという商品性が関係していると考えられます。

    ここからは、ヘッジコストや運用管理の負担、外貨建て資産を持つ意味合いの観点から整理します。

    継続的なコストが低コスト運用の重荷になりやすい

    為替ヘッジを行うためには、「ヘッジコスト」と呼ばれる費用が継続的に発生します。このコストは、基本的にヘッジ対象となる通貨と円の間の短期金利差によって決まります。

    例えば、円で米ドル建て資産の為替ヘッジを行う場合、米国の短期金利が日本より高いと、その金利差がコストとしてかかります。

    実際、2024年には、日米金利差の拡大を背景に、米ドル円の為替ヘッジコストが年率5%を超える水準となった時期もありました。

    ポイントの解説

    特にオルカンのように長期保有を前提とするインデックスファンドでは、ヘッジコストを継続的に負担することが、リターンの下押し要因になり得ます。

    低コストで長期分散投資を行うという商品性を考えると、為替ヘッジを付けることが一概に良いとは言えない面があります。

    (参考:為替ヘッジコストについて(2026年6月)|大和アセットマネジメント

    複数通貨の管理が必要になる

    為替相場は常に変動しており、短期的な動きを正確に予測することは専門家でも困難です。とくにオルカンは、米国株の比率が高いファンドですが、投資対象は米国だけではありません。欧州、英国、カナダ、新興国などの株式も含まれており、米ドル以外の複数通貨の影響を受けます。

    そのため、仮に為替ヘッジを行う場合、ドル円だけでなく、ユーロ円、英ポンド円、カナダドル円など、複数の通貨を管理対象にする必要があります。

    さらに、組入比率は株価変動や銘柄の入れ替え等によっても変わります。ヘッジを行う場合は、こうした変化に応じて通貨ごとのヘッジ比率を調整する必要があり、単一通貨のファンドに比べて運用管理の負担は大きくなりやすいと考えられます。

    また、こうした管理の手間が、結果として、コスト増につながる可能性も考えられます。

    外貨建て資産を持つ意味合いが薄れてしまう 

    為替ヘッジを行わずにオルカンのような海外資産を含むファンドに投資することは、円だけでなく、米ドルやユーロなどの外貨建て資産を間接的に保有することでもあります。これは、資産を複数の通貨に分散させる効果につながります。

    オルカンは原則として投資対象の現地通貨建資産を保有するため、ドル円以外にも複数の通貨の影響を受けます。つまり、「国・地域」や「銘柄」の分散に加えて、「通貨」の分散効果も期待できます。

    一方で、為替ヘッジを行うと、外貨建て資産の為替変動の影響を抑えられる半面、円安時に基準価額を押し上げる効果も受けにくくなります。そのため、外貨建て資産を持つ意味合いは薄れると考えられます。

    将来的な円安のリスクに備えるという観点からも、資産の一部を外貨建て資産で保有することには一定の意味があります。

    こうした点も、オルカンが為替ヘッジなしの商品設計になっている背景の一つと考えられます。


    投資信託の選び方・運用法が気になるあなたへ

    マネイロでは、資産運用の不安を解消するために、さまざまなツールを無料でご提供しています。

    3分投資診断:iDeCoやNISAなど、相性の良い資産運用がわかる

    事例付きで株価暴落対策が学べる:スマホで簡単!30分の無料セミナー

    ファンドアナリストが語る2026年の投資信託選び:投資信託選びを解説するWebセミナー

    為替ヘッジなしのオルカンが受ける為替の影響

    為替ヘッジを行わないオルカンは、為替レートの変動も基準価額の変動要因になります。一般的に、円安は基準価額の押し上げ要因となり、円高局面では押し下げ要因となります。

    これは、オルカンが投資している外貨建て資産の価値が、円に換算する際に為替レートの影響を受けるためです。こうした仕組みを理解することは、為替変動による値動きに過度に一喜一憂せず、長期投資を続けるうえでも役立ちます。

    円安時の為替差益はリターンの押し上げ要因になる

    円安とは、他の通貨に対して円の価値が下がることです(例:1ドル=140円から150円になる)。この状況では、オルカンが保有する外貨建て資産の円換算額が上昇します。

    ポイントの解説

    例えば、1万ドルの米国株を保有している場合、1ドル=140円なら円換算額は140万円ですが、1ドル=150円の円安になれば150万円になります。この差額10万円が為替差益です。

    円安局面では、投資先の株価が変わらなくても、為替差益が基準価額の押し上げ要因になります。実際に、2021年以降の円安局面では、為替ヘッジなしの海外株式ファンドにとって、円安がリターンの押し上げ要因となりました。

    円高時の為替差損はリターンの押し下げ要因になる

    円高とは、他の通貨に対して円の価値が上がることです(例:1ドル=150円から140円になる)。この状況では、オルカンが保有する外貨建て資産の円換算額は減少します。

    先ほどと同じく、1万ドルの米国株を保有している場合で考えると、1ドル=150円なら円換算額は150万円ですが、1ドル=140円になると140万円に下がります。この差額10万円が円換算で生じる為替差損です。

    投資先の株価が上昇していても、それを上回る円高が進行すると、円換算でのトータルリターンはマイナスになる可能性もあります。

    為替ヘッジなしのファンドに投資するということは、こうした円高によるリターンの押し下げリスクを受け入れることでもあります。

    参考)シミュレーション|円高・円安の評価額

    為替変動が資産評価額に与える影響を、具体的な数値で確認してみましょう。仮に、オルカンを通じて1万ドル相当の外国株式を保有しているとします。

    為替レート

    資産評価額(円換算)

    資産評価額(円換算)

    150円時との差額

    150円時との差額

    1ドル = 160円(円安)

    資産評価額(円換算)

    160万円

    150円時との差額

    +10万円

    1ドル = 150円(基準)

    資産評価額(円換算)

    150万円

    150円時との差額

    0円

    1ドル = 140円(円高)

    資産評価額(円換算)

    140万円

    150円時との差額

    -10万円

    このように、株価自体が全く変動しなくても、為替レートが10円動くだけで、1万ドル相当の資産の評価額は10万円変動します。投資額が増えるほど、影響も増えることを理解しておく必要があります。

    上記は特定の条件下でのシミュレーションであり、将来の成果を保証するものではありません。税金や手数料等は考慮していません。

    2024年から2026年の為替変動とオルカンへの影響

    近年の為替相場は、オルカンのような為替ヘッジなしのファンドに影響を与えました。

    例えば、2022年はS&P500指数が下落した一方で、急激な円安が進んだ年でもありました。そのため、為替ヘッジありのS&P500ファンドは株安の影響を受けて大きく下落したのに対し、為替ヘッジなしのファンドは円安による押し上げ効果により、下落幅が抑えられる動きが見られました。

    一方で、2024年4月末から2025年4月末までの1年間は、ドル円レートが約9%低下し、円高局面となりました。この期間、世界の株式市場は上昇したものの、円高が重しとなり、オルカンの1年リターンは+0.20%と伸び悩む結果になっています。

    株価が基準価額に影響を与えることは容易に考えられますが、為替も同様に、基準価額に影響を与える重要な要素であることがわかります。

    為替リスクを抑えたい場合の選択肢

    オルカン単体で為替リスクをなくすことはできません。しかし、為替変動の影響がどうしても気になるという人は、自身の資産ポートフォリオ全体でリスクを調整する方法があります。

    オルカンへの投資は続けながら、他の金融商品を組み合わせたり、投資タイミングを分散したりすることで、為替リスクを相対的に抑えることが可能です。ここでは、3つの選択肢を紹介します。

    為替ヘッジありの先進国株式ファンドと併用する

    外貨建て資産の一部を為替ヘッジありの商品に置き換えることで、資産全体に対する為替リスクを抑えやすくなります。

    例えば、オルカンを資産の中核として保有しつつ、ポートフォリオの一部に為替ヘッジありの先進国株式ファンドなどを組み入れる、などの方法があります。

    主要な全世界株式インデックスファンドでは、為替ヘッジを行わない商品設計が一般的です。

    一方で、先進国株式や米国株式(S&P500など)を対象としたファンドには、「iシェアーズ S&P500 米国株 ETF(為替ヘッジあり)」や「iFree 外国株式インデックス(為替ヘッジあり)」など、「為替ヘッジあり」の商品が販売されています。

    ただし、為替ヘッジには継続的なコストがかかるため、コストとリスク低減効果のバランスを見て判断する必要があります。

    日本株式や日本国債を組み合わせる

    為替リスクは、外貨建て資産を保有することで生じます。したがって、資産全体に占める円建て資産の比率を高めることで、為替変動の影響を相対的に小さくすることができます。

    円建て資産には、日本株式、日本国債、あるいは日本株式や日本国債に投資する投資信託やETF、円預金が挙げられますが、例えば、資産の半分をオルカンで、もう半分を日本株式ファンドや個人向け国債で保有するといったポートフォリオが考えられます。

    ただし、日本株式を保有する場合、企業の業績や株価は為替の影響を受けて変動する場合があります。間接的に為替の影響を受けていることを理解しておきましょう。

    為替変動に不安がある場合は、まず円建て資産と外貨建て資産の比率に加え、円建て資産の種類も確認することがポイントです。

    安定性を重視するなら、日本国債や円預金、値上がり益を狙いたいなら、日本株式ファンドなど、リスク許容度や目的に応じてポートフォリオ全体のバランスを調整しましょう。

    積立投資で時間分散を図る

    一括投資ではなく、毎月コツコツと一定額を積み立てる「積立投資」を実践することも、為替リスクを緩和する有効な手段です。これは「ドルコスト平均法」の考え方に基づいています。

    ポイントの解説

    ただし、積立投資は為替リスクそのものを直接小さくする方法ではありません。為替ヘッジありの商品を選んだり、円建て資産を組み入れたりする方法とは異なり、あくまで投資するタイミングを分散する手法です。

    積立投資は、一括投資に比べて、為替や株価が大きく動いたタイミングに資金を集中させるリスクは抑えやすくなります。

    為替の短期的な動きだけで投資判断をするのではなく、積立をコツコツと続けることが、長期投資では現実的な選択肢になります。

    為替ヘッジあり・なしを比較するとどちらがよいか

    投資信託を選ぶ際、海外資産を含む商品では「為替ヘッジあり」と「為替ヘッジなし」のどちらを選ぶべきか悩むことがあります。オルカンには「ヘッジなし」しかありませんが、他のファンドを選ぶ際の参考として、両者の違いを理解しておくことも大切です。

    どちらが一方的に優れているというわけではなく、投資家のリスク許容度や相場観、投資期間によって最適な選択は異なります。それぞれのメリット・デメリットを比較し、自身の投資スタイルに合ったものを選びましょう。

    比較|オルカンと為替ヘッジありファンドの違い

    オルカン(為替ヘッジなし)と、一般的な為替ヘッジありの海外株式ファンドの主な違いを以下の表にまとめました。

    項目

    オルカン(為替ヘッジなし)

    オルカン(為替ヘッジなし)

    為替ヘッジありファンド

    為替ヘッジありファンド

    為替の影響

    オルカン(為替ヘッジなし)

    為替変動の影響を受けやすい

    為替ヘッジありファンド

    為替変動の影響を受けにくい

    円安時の影響

    オルカン(為替ヘッジなし)

    基準価額の押し上げ要因になりやすい

    為替ヘッジありファンド

    ヘッジなしに比べて、円安による押し上げ効果は限定的

    円高時の影響

    オルカン(為替ヘッジなし)

    基準価額の押し下げ要因になりやすい為

    為替ヘッジありファンド

    ヘッジなしに比べて、円高による押し下げ効果は限定的

    ヘッジコスト

    オルカン(為替ヘッジなし)

    かからない

    為替ヘッジありファンド

    継続的にかかる

    このように、両者は為替変動に対する影響の受け方が異なります。為替ヘッジなしは円安時の押し上げ効果を期待できる一方、円高時には基準価額の下押し要因になります。

    為替ヘッジありは、ヘッジコストを負担する代わりに、為替変動による基準価額のブレを抑えやすい商品と言えます。

    為替ヘッジありのメリット・デメリット

    為替ヘッジありの最大のメリットは、円高による資産価値の目減りを防げることです。為替レートの変動を過度に気にすることなく、投資対象である株式や債券そのものの値動きを見て投資判断ができます。運用成績の安定化も期待できるでしょう。

    一方、デメリットは主に2つあります。1つ目は、継続的に「ヘッジコスト」がかかることです。日本円のような低金利通貨で、米国のような高金利通貨の資産にヘッジをかける場合、コストが高くなる傾向があります。このコストはリターンを圧迫する要因となります。

    2つ目は、円安が進行した際に得られるはずの為替差益を享受できない点です。円安局面では、為替ヘッジなしのファンドに比べてリターンが見劣りする可能性があります。

    為替ヘッジなしのメリット・デメリット

    為替ヘッジなしは、ヘッジコストがかからないため、その分、リターンの下押し要因を避けられる点がメリットです。また、円安局面では外貨建て資産の円換算額が上昇し、基準価額の押し上げ要因になります。

    さらに、外貨建て資産を間接的に保有することになるため、円資産との通貨分散効果が期待できます。

    一方で、主なデメリットは為替変動の影響を受けることです。円高が進行した場合、投資対象の株価が上昇していても、為替差損によって円換算でのリターンが押し下げられる可能性があります。

    為替ヘッジなしの商品では、株価だけでなく為替相場の動向も運用成績に影響します。

    長期投資で為替ヘッジなしが選ばれやすい理由

    NISAなどを活用した長期の資産形成では、「為替ヘッジなし」の商品が選ばれる傾向があります。主な理由は、ヘッジコストを避けやすいことと、長期・積立・分散投資によって、短期的な値動きの影響を抑えながら運用を続けやすいことです。

    為替ヘッジを行う場合、保有期間中はヘッジコストが継続的に発生します。金利差が大きい局面では負担が重くなり、10年、20年と積み重なると、リターンの下押し要因になりかねません。

    ポイントの解説

    一方、長期投資では、短期的な円高・円安に合わせて売買するよりも、株式市場の成長を取り込むことを重視する考え方があります。長期で保有する前提であっても為替変動の影響は受けますが、短期的な円高・円安に過度に左右されず、運用を継続するという選択肢もあります。

    長期投資であっても、為替リスクなど、投資に関するリスクが無くなるわけではありませんが、リスク許容度の高い投資家にとっては、コストをかけて為替変動を抑えるよりも、ヘッジなしで長期保有する方針が合うケースがあります。

    オルカン投資で為替リスクとどう向き合うか

    オルカンに投資する以上、為替リスクは避けて通れません。重要なのは、為替リスクを正しく理解し、冷静な視点で長期的に向き合う姿勢です。

    為替の短期的な動きに一喜一憂するのではなく、資産全体の中でリスクをどのように捉えるか、考えることも大切になるでしょう。

    為替リスクだけに注目しすぎない

    オルカンは、あくまで「全世界の株式」に投資する商品です。中心となるリスクは、世界経済の動向や企業業績によって株価が変動する「株価変動リスク」です。

    もちろん、為替リスクも、株式リスクとあわせて意識すべき重要な要素のひとつです。ただし、円安に備えるつもりでオルカンを買い増しても、世界的な株安が起これば、円換算でも資産が減少する可能性があります。

    オルカンへの投資を判断する際は、「円安に備えられるか」という点だけにフォーカスするのではなく、「株式市場全体の値動きに自分がどこまで耐えられるか」という、自身の株式変動リスクに対する許容度を確認することが大切です。

    短期的な為替変動に一喜一憂しない

    為替相場の短期的な動きを正確に予測することは、プロの投資家でも困難です。日々のニュースで円高や円安が報じられるたびに、不安になったり、過度な期待を抱いたりするのは避けたいところです。

    長期の資産形成を目指すのであれば、目先の評価額の変動に振り回されず、当初立てた投資計画に従って運用を継続することが大切です。為替や株式市場は常に変動するものと理解し、長期的な視点で向き合うことを心がけましょう。

    定期的なリバランスで調整する

    為替リスクを含めた資産全体のリスクを管理するうえで有効なのが、定期的な「リバランス」です。リバランスとは、値動きによって変化した資産配分の比率を、当初決めた目標に戻す作業を指します。

    たとえば、「円建て資産50%:外貨建て資産50%」という目標を立てていたとします。円安や海外株高によってオルカンの評価額が上昇し、比率が「円建て資産40%:外貨建て資産60%」に変化した場合、増えすぎた外貨建て資産の一部を売却し、円建て資産を買い増すことで、元の50%:50%に近づけることができます。

    年に1回など、定期的に資産全体のバランスを確認し、必要に応じてリバランスを行うことで、想定以上にリスクを取りすぎることを防ぎやすくなります。

    ただし、売却を伴う場合は税金やNISA枠への影響もあるため、コストや制度上の扱いも確認しておきましょう。

    オルカンの為替ヘッジに関するよくある質問

    ここでは、オルカンと為替ヘッジに関して、投資初心者の人が抱きやすい疑問についてQ&A形式で解説します。

    Q. オルカンは為替ヘッジなし?

    はい、その通りです。「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」、通称オルカンは、運用方針として原則として為替ヘッジを行わない「為替ヘッジなし」の投資信託です。そのため、為替レートの動きが基準価額の変動要因になります。

    Q. S&P500は為替ヘッジありとなしどっち?

    S&P500に連動する投資信託やETFには、「為替ヘッジあり」と「為替ヘッジなし」の両方のタイプが存在します。

    例えば、人気の「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」は為替ヘッジなしの商品です。一方で、「iシェアーズ S&P 500 米国株 ETF(為替ヘッジあり)」のように、ヘッジありの選択肢も提供されています。投資家は自身の投資方針や為替相場に対する考え方に応じて、どちらかを選ぶことができます。

    Q. 為替ヘッジのコストはどれくらい?

    為替ヘッジのコストは、主にヘッジ対象となる2通貨間の短期金利差によって決まります。そのため、金利情勢によって変動します。

    日本と米国の金利差が拡大している局面では、ヘッジコストは高くなります。例えば、2024年のデータでは、米ドル円の為替ヘッジコストが年率5%を超える水準で推移していた時期もあります。これは、米国債券の利回りが4%あっても、ヘッジをかけると利益がほぼゼロになる水準です。

    最新のヘッジコストについては、為替ヘッジありファンドの月次レポートや、運用会社が公表するマーケットレポートなどで確認できます。

    たとえば、大和アセットマネジメントのマーケットレターでは、米ドル円などの為替ヘッジコストの推移が取り上げられることがあります。

    (参考:レポート一覧 / 大和アセットマネジメント株式会社

    まとめ

    オルカンには「為替ヘッジあり」の商品はなく、原則として為替ヘッジを行わない商品設計になっています。そのため、株価だけでなく為替変動も基準価額の変動要因になります。

    為替ヘッジなしの商品設計になっている背景には、長期投資ではヘッジコストがリターンの下押し要因になりやすいことや、通貨分散の効果が得られることなどが挙げられます。

    一方で、ヘッジなしである以上、為替リスクは避けられません。円安はリターンの押し上げ要因に、円高はリターンの押し下げ要因になります。

    また、積立投資を長期間続けたとしても、為替リスクが無くなるわけではありません。短期的な為替変動に振り回されない姿勢も大切です。

    為替リスクが気になる場合は、為替ヘッジありの他のファンドや、日本国債や円預金、日本株式などの円資産を一緒に保有することで、資産全体のリスクを調整できます。

    オルカン単体ではなく、自身の資産全体を見渡して、長期的な視点で資産形成に取り組みましょう。

    自身の資産全体でどのようなバランスを取るべきか、専門家のアドバイスが欲しいと感じる人もいるかもしれません。自身の状況に合った、より具体的な投資戦略を検討してみてはいかがでしょうか。

     »あなたに必要な投資は?必要資金額から無料診断


    投資信託の選び方・運用法が気になるあなたへ

    マネイロでは、資産運用の不安を解消するために、さまざまなツールを無料でご提供しています。

    3分投資診断:iDeCoやNISAなど、相性の良い資産運用がわかる

    事例付きで株価暴落対策が学べる:スマホで簡単!30分の無料セミナー

    ファンドアナリストが語る2026年の投資信託選び:投資信託選びを解説するWebセミナー

    ※本記事の内容は記事公開時や更新時の情報です。現行と期間や条件が異なる場合がございます

    ※本記事の内容は予告なしに変更することがあります。予めご了承ください

    オススメ記事

    監修
    土屋 史恵
    • 土屋 史恵
    • ファイナンシャルプランナー/金融ライター/編集者

    神戸市外国語大学卒業後、外資系生命保険会社、都市銀行にてリテール営業、法人営業に携わる。遺言信託など資産承継ビジネスに強み、表彰歴あり。その後は長年の金融機関勤務経験を活かし、金融メディアに転職。記事執筆や編集などを担当。現在はフリーランスとして活動中。AFP、FP2級、証券外務員一種を保有。

    記事一覧

    執筆
    マネイロメディア編集部
    • マネイロメディア編集部
    • お金のメディア編集者

    マネイロメディアは、資産運用に関することや将来資金に関することなど、お金にまつわるさまざまな情報をお届けする「お金のメディア」です。正確かつ幅広い年代のみなさまにわかりやすい、ユーザーファーストの情報提供に努めてまいります。

    一覧へもどる