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アッパーマス層でも老後は安泰ではない?資産寿命を延ばす運用と取り崩しの戦略

アッパーマス層でも老後は安泰ではない?資産寿命を延ばす運用と取り崩しの戦略

お金2026/05/07

    »あなたは資産運用するべき?最適な運用を3分で診断 

    純金融資産が3000万円を超え「アッパーマス層」の仲間入りを果たしたものの、「本当にこのままで老後は安泰なのだろうか」という漠然とした不安を抱えていませんか。

    本記事では、アッパーマス層の人が直面しやすい老後のリスクを具体的に解説し、資産寿命を延ばすための「攻め」と「守り」の戦略を専門家の視点で紹介します。

    自身の状況と照らし合わせながら、安心できる老後への一歩を踏み出しましょう。

    この記事を読んでわかること
    • アッパーマス層でもインフレや長生きリスクにより老後が安泰とは限らない
    • 資産寿命を延ばすには、資産運用で増やす「攻め」と支出を管理する「守り」の戦略が重要
    • 早期リタイアや金融機関の言いなり投資は、資産を大きく減らす失敗パターンにつながりやすい


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    アッパーマス層とは?あなたの立ち位置を確認

    アッパーマス層とは、一定の金融資産を保有する世帯を指す区分です。

    まずは、自身の世帯がどの位置にあるのか、アッパーマス層の定義と全体における割合を正確に把握することから始めましょう。

    金融資産3000万〜5000万円の位置づけ

    アッパーマス層とは、世帯が保有する金融資産の合計額から負債を差し引いた「純金融資産保有額」が、3000万円以上5000万円未満の層を指します。

    これは、野村総合研究所が定義する5つの階層のうち、上から4番目に位置します。

    純金融資産とは、預貯金、株式、債券、投資信託、保険などの金融資産から、住宅ローンなどの負債を引いた金額です。不動産などの実物資産は含まれません。

    2023年の調査によると、日本の全世帯のうちアッパーマス層が占める割合は約10.3%(576.5万世帯)です。

    ポイントの解説

    多いのは純金融資産3000万円未満の「マス層」で、全体の約79%を占めています。つまり、アッパーマス層は、大多数のマス層を抜け出し、富裕層への一歩手前にいる「富裕層予備軍」ともいえる位置づけです。

    階層

    純金融資産保有額

    純金融資産保有額

    世帯数(2023年推計)

    世帯数(2023年推計)

    割合

    割合

    超富裕層

    純金融資産保有額

    5億円以上

    世帯数(2023年推計)

    11.8万世帯

    割合

    0.2%

    富裕層

    純金融資産保有額

    1億円以上5億円未満

    世帯数(2023年推計)

    153.5万世帯

    割合

    2.8%

    準富裕層

    純金融資産保有額

    5000万円以上1億円未満

    世帯数(2023年推計)

    403.9万世帯

    割合

    7.3%

    アッパーマス層

    純金融資産保有額

    3000万円以上5000万円未満

    世帯数(2023年推計)

    576.5万世帯

    割合

    10.3%

    マス層

    純金融資産保有額

    3000万円未満

    世帯数(2023年推計)

    4424.7万世帯

    割合

    79.4%

    (参考:野村総合研究所、日本の富裕層・超富裕層は合計約165万世帯、その純金融資産の総額は約469兆円と推計 | 野村総合研究所(NRI))

    「いつの間にか」この層に入った人も多い

    アッパーマス層や準富裕層の中には、伝統的な資産家や経営者ではなく、ごく普通のサラリーマンとして働きながら、意図せずして資産を築き上げた「いつの間にか富裕層」と呼ばれる人々が近年増加しています。

    この背景には、2つの社会的要因があります。

    好調な株式市場

    近年の株価上昇により、従業員持株制度や確定拠出年金(DC)、NISAなどを通じてコツコツと積立投資を続けてきた人の資産価値が増加しました。

    リスク性資産の比率が高かった人は、特別なことをせずとも資産が膨らみ、結果的にアッパーマス層や準富裕層の基準に達したケースが少なくありません。

    相続の増加

    親世代からの相続によってまとまった資産を受け継ぎ、自身の給与所得や貯蓄と合わさることで、純金融資産が数千万円単位で増加したケースです。

    こうした「いつの間にか富裕層」は、40代から50代の現役サラリーマンに多く見られます。

    しかし、急に資産が増えたことで、自身の資産状況を正確に把握していなかったり、富裕層向けの金融知識が十分でなかったりする人も多いのが実情です。そのため、今後の資産管理や運用方針について、新たな課題に直面する可能性があります。

    アッパーマス層が抱える老後の不安の正体

    純金融資産が3000万円を超えると、一見すると老後は安泰に思えるかもしれません。

    しかし、多くのアッパーマス層の人が「本当にこのままで大丈夫だろうか」という漠然とした不安を抱えています。不安の正体は、主に4つのリスクに分解できます。

    「3000万円あっても足りない」と感じる理由

    アッパーマス層が抱える不安の根源は、「資産を取り崩すだけの生活では、いずれ資金が底をついてしまう」という現実にあります。

    例えば、総務省の家計調査によると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯の消費支出は月額約26万円、単身無職世帯では約15万円です。

    一方、「令和8年度年金額改定」によると、夫婦2人世帯の標準的な年金額は約23万円です。仮に夫婦で月30万円の生活を送るとすると、月7万円が不足します。

    純金融資産3000万円から年金収入の不足分を取り崩していくと、資金が尽きるまでは約36年です。資産が5000万円あれば、約60年生活できます。これだけ見ると、平均寿命を考えても、生活費としては十分な金額のように思えます。

    しかし、老後の生活費が月30万円で足りるとは限りません。生命保険文化センターの調査では、夫婦2人がゆとりある老後生活を送るためには、月39万円が必要とされています。生活費がもっとかかれば、資金ももっと早く枯渇する可能性があります。

    3000万円〜5000万円の資産があってもそれだけで安心とはいえません。資産を「いかに長持ちさせるか」という視点は不可欠です。

    インフレによる資産の目減りリスク

    インフレ(インフレーション)とは、モノやサービスの価格が継続的に上昇し、相対的にお金の価値が下がることです。老後資金を考える上で、このインフレリスクは無視できません。

    例えば、現在3000万円の資産を持っていても、毎年2%のインフレが続けば、10年後には当該資産の実質的な価値は約2460万円に、20年後には約2020万円にまで目減りしてしまいます。

    資産の大部分を金利の低い預貯金で保有している場合、インフレの進行に資産の増加が追いつかず、実質的に資産が減っていくことになります。

    「銀行に預けているから安全」という考え方は、インフレ下ではリスクになり得るのです。老後の長い期間にわたって資産価値を維持するためには、インフレに負けない運用戦略が求められます。

    医療・介護費の上振れリスク

    老後の支出で予測が難しいのが、医療費や介護費です。これらは健康状態によって変動するため、計画を立てにくい費用といえます。

    生命保険文化センターの調査によると、介護にかかる費用(公的介護保険適用後の自己負担額)は一時的な費用の合計が平均で47万円月々の費用が平均で約9万円とされています。介護期間の平均が4年7ヶ月であるため、総額で平均542万円が必要になる計算です。

    公的な医療保険や介護保険制度があるとはいえ、自己負担額はある程度発生します。保険適用外の費用や、より質の高いサービスを求めると負担はさらに増加します。

    アッパーマス層の人は、現役時代に質の高い生活を送ってきた分、老後も同様のレベルを維持したいと考える傾向があります。 

    そのため、いざ介護が必要になった際に、想定以上の費用がかかり、資産計画が狂ってしまうリスクがあるのです。

    長生きリスク(長寿リスク)

    医療の進歩により、日本の平均寿命は年々延びています。厚生労働省のデータによると、日本人の平均寿命は80歳を超えており、人生100年時代も現実味を帯びてきました。

    長生きできること自体は喜ばしいことですが、資産計画の観点からは「長生きリスク」となります。これは、想定していたよりも長生きすることで、準備していた老後資金が途中で尽きてしまうリスクのことです。

    ポイントの解説

    例えば、90歳までの生活を想定して資金計画を立てていた場合、95歳、100歳と長生きすると、計画外の資金が必要になります。資産を取り崩しながら生活している場合、このリスクはより深刻になります。

    アッパーマス層であっても、資産を取り崩すスピードが長生きのペースに追いつかなければ、「長生きによる老後破産」という事態に陥る可能性もゼロではありません。そのため、資産をできるだけ減らさずに運用を続け、資産寿命を延ばす工夫が重要になります。


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    老後が安心なケースと危険なケース

    アッパーマス層といっても、老後の安心度は個々の状況によって異なります。

    ここでは、どのようなケースが比較的安心でき、どのようなケースで注意が必要なのかを具体的に見ていきましょう。自身の状況を客観的に評価するための簡易チェックリストもご活用ください。

    安心できるケース

    アッパーマス層の中でも、老後の生活が比較的安心できるのは、以下のような特徴を持つ世帯です。

    公的年金だけで生活費の大部分を賄える

    厚生年金などの受給額が多く、年金収入だけで日々の生活費がほぼカバーできる場合、資産の取り崩しを最小限に抑えられます。これにより、資産寿命が大幅に延びます。

    持ち家があり、住宅ローンが完済している

    老後の最大の固定費である住居費の負担がない、または少ないことは、家計の安定に直結します。修繕費の備えは必要ですが、毎月の家賃支払いやローン返済がないメリットは大きいです。

    退職後も継続的に収入を得る手段がある

    再雇用やパート、個人事業などで少しでも収入があれば、資産の取り崩しペースを遅らせることができます。完全にリタイアするのではなく、緩やかに働き続ける選択肢も有効です。

    資産運用を継続し、インフレ対策ができている

    資産の一部を株式や投資信託などで運用し、インフレ率を上回るリターンを目指している場合、資産の実質的な価値の目減りを防ぐことができます。

    これらの条件が複数当てはまるほど、老後の経済的な安定度は高まるといえるでしょう。

    注意が必要なケース

    一方で、アッパーマス層であっても、以下のようなケースでは老後の資金計画に注意が必要です。

    生活水準が高く、支出が多い

    現役時代からの高い生活レベルを維持しようとすると、年金収入だけでは到底足りず、資産の取り崩しペースが速まります。意識せずに支出を続けていると、想定より早く資金が枯渇するリスクがあります。

    資産のほとんどが現金・預金

    インフレによって資産の実質的な価値が目減りするリスクに無防備な状態です。資産を守り、増やすための「攻め」の視点が欠けているといえます。

    住宅ローンやその他の負債が残っている

    リタイア後もローンの返済が続く場合、家計を圧迫する要因となります。収入が減少する中で負債を抱え続けるのは、精神的な負担にもなります。

    退職金などを一括で受け取り、投資に回してしまう

    退職金を元手に、金融機関に勧められるがままにハイリスクな商品複雑な仕組みの商品に投資し、損失を被るケースは少なくありません。まとまったお金を手にした時こそ、慎重な判断が求められます。

    これらの項目に当てはまる場合は、現状の資産計画を見直す必要があるでしょう。

    簡易チェックリスト

    自身の老後の安心度を客観的に評価するために、以下の項目をチェックしてみましょう。当てはまる項目が多いほど、より慎重な計画が必要です。

    【老後の不安度チェックリスト】

    • 公的年金の受給見込み額を正確に把握していない
    • 老後の生活費が月30万円以上かかりそう
    • 持ち家ではなく、老後も家賃が発生する
    • 65歳時点で住宅ローンやその他の借金が残る予定だ
    • 保有資産の半分以上が現金・預金である
    • 資産運用や投資に関する知識に自信がない
    • 病気をした経験がある、または健康に不安がある
    • 介護が必要になった場合の費用や準備を具体的に考えていない
    • 趣味や交際費など、生活にゆとりを持たせるための費用を考慮していない
    • 資産について相談できる専門家がいない

    このチェックリストで複数の項目にチェックが付いた人は、次の章で解説する具体的な戦略を参考に、自身の資産計画を見直すことを推奨します。

    資産寿命を延ばす「攻め」の戦略

    老後の資産を長持ちさせるためには、支出を抑える「守り」だけでなく、資産を積極的に増やしていく「攻め」の戦略が不可欠です。

    インフレに負けない資産運用で、お金にも働いてもらう仕組みを作りましょう。

    預金だけでは資産価値が下がる現実

    現在の日本では、物価が上昇するインフレ傾向が続いています。これは、同じ金額で買えるモノが少なくなる、つまり「お金の価値が下がる」ことを意味します。

    例えば、年2%のインフレが続いた場合、銀行に預けている1000万円の価値は、10年後には実質的に約820万円まで目減りしてしまいます。超低金利時代の現在、普通預金の金利は0.25%程度(※)であり、インフレ率には到底及びません。

    つまり、資産をただ預金として保有しているだけでは、何もしなくても資産価値が毎年少しずつ下がっていくのが現実です。 老後の長い期間を考えると、この影響は無視できません。

    資産を守るためには、インフレ率を上回るリターンを目指す資産運用が不可欠なのです。

    (※参考:主要時系列統計データ表|日本銀行

    配当・運用利回りで資産を増やす

    資産寿命を延ばすための具体的な「攻め」の戦略は、資産そのものから収益(インカムゲイン)を生み出す仕組みを作ることです。これにより、元本を取り崩すペースを緩やかにできます。

    主な方法として、以下のようなものが挙げられます。

    • 株式投資: 企業が上げた利益の一部を株主に還元する「配当金」を受け取ることができます。高配当株に投資することで、安定したインカムゲインが期待できます。
    • 投資信託: 投資家から集めた資金を専門家が運用する商品です。運用で得られた利益は「分配金」として投資家に還元されます。全世界の株式に分散投資するインデックスファンドなどが人気です。
    • 不動産投資: マンションやアパートなどを購入し、第三者に貸し出すことで「家賃収入」を得る方法です。不動産クラウドファンディングを利用すれば、1万円程度の少額から不動産への投資が可能です。
    ポイントの解説

    これらの運用によって、例えば年間3%の利回りが得られれば、3000万円の資産から年間90万円の収益が生まれます。この収益を生活費の補填に充てることで、元本の取り崩しを大幅に減らすことができるのです。

    リスク許容度に応じた資産配分

    資産運用を行う上で重要なのは、自身の「リスク許容度」を把握し、それに応じた資産配分(ポートフォリオ)を組むことです。

    リスク許容度とは、資産運用においてどの程度の価格変動(リスク)を受け入れられるかを示す度合いを指します。

    一般的に、年齢が若く、運用期間を長く取れるほどリスク許容度は高くなり、リタイアが近づくにつれて低くなります。アッパーマス層の多くを占める50代〜60代の人は、失敗が許されないため、過度なリスクを取るべきではありません。

    具体的な資産配分としては、以下のような考え方が基本です。

    • コア(中核)資産: 資産の大部分を占める、比較的リスクの低い安定的な資産。先進国の株式や債券に分散投資するインデックスファンドなどが該当します。
    • サテライト(衛星)資産: 資産の一部で、より高いリターンを狙うための資産。個別株や新興国株式、不動産投資などが考えられます。

    定年が近づくにつれて、株式などのリスク資産の比率を下げ、債券などの安定資産の比率を高めていくなど、ライフステージに合わせてポートフォリオを定期的に見直すことが、資産を守りながら増やすための鍵となります。

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    資産を守る「守り」の戦略

    資産を増やす「攻め」の戦略と同時に、無駄な支出を減らし、資産の目減りを防ぐ「守り」の戦略も欠かせません。

    老後の収支を正確に把握し、計画的に資産を取り崩していく仕組みを構築しましょう。

    年金と生活費のバランスを再確認

    老後の資産計画を立てる第一歩は、収入と支出を正確に把握することです。

    まずは、毎年誕生月に日本年金機構から送られてくる「ねんきん定期便」や、Webサイト「ねんきんネット」で、自身の公的年金の受給見込み額を確認しましょう。これが老後の基本的な収入源となります。

    次に、現在の家計簿をもとに、老後の生活でどれくらいの支出が見込まれるかをシミュレーションします。その際、以下の3つのレベルで考えると、より現実的な計画が立てやすくなります。

    • 最低限の生活費: 食費、住居費、光熱費など、生活に必須の費用
    • 標準的な生活費: 最低限の生活費に加え、趣味や交際費など、人並みの生活を送るための費用
    • ゆとりのある生活費: 標準的な生活費に加え、旅行や孫へのお小遣いなど、より豊かな生活を送るための費用

    年金収入から生活費を差し引き、毎月いくら不足するのかを明確にすることで、資産をどのくらいのペースで取り崩していく必要があるのかが見えてきます。

    4%ルールと取り崩し計画

    資産を計画的に取り崩していく上で、参考にしたい考え方が「4%ルール」です。

    これは、米国の研究で提唱されたもので、「年間の支出を投資元本の4%以内に抑えれば、資産を目減りさせることなく30年以上維持できる可能性が高い」という理論です。

    ポイントの解説

    例えば、3000万円の資産がある場合、4%ルールに基づけば年間の取り崩し額は120万円(月10万円)が目安となります。この範囲内で生活費の不足分を補うことができれば、資産が早期に枯渇するリスクを低減できます。

    このルールは、資産を年率4%以上で運用し続けることが前提となっています。そのため、インフレ率や市場の変動によっては、必ずしも万能ではありません

    しかし、無計画に資産を取り崩すのではなく、「年間〇%まで」という明確なルールを設けることは、資産を長持ちさせる上で有効な戦略です。

    自身の資産額と年間の不足額を照らし合わせ、何%ルールなら実現可能かを検討してみましょう。

    固定費の見直しで支出を最適化

    資産を守る上で、即効性があり効果も大きいのが「固定費の見直し」です。固定費とは、住居費、水道光熱費、通信費、保険料など、毎月一定額かかる支出のことです。

    一度見直すだけで、固定費削減の効果が継続するのがメリットです。老後生活に入る前に、以下の項目をチェックしてみましょう。

    • 保険料: 保障内容が現状に合っているか、不要な特約が付いていないかを見直す。子どもの独立後は死亡保障額を減額できる場合があります。
    • 通信費: スマートフォンを大手キャリアから格安SIMに変更するだけで、月々の料金を数千円単位で削減できる可能性があります。
    • 住居費: 住宅ローンの金利が高い場合は、より低い金利のローンへの借り換えを検討する。賃貸の場合は、より家賃の安い物件への住み替えも選択肢です。
    • サブスクリプションサービス: 利用頻度の低い動画配信サービスや雑誌の定期購読など、不要な契約がないか確認し、解約する。

    これらの見直しによって月々の支出を1万円でも削減できれば、年間で12万円、20年間で240万円もの節約につながります。資産の取り崩し額を減らすために、まずは支出の最適化から始めましょう。

    働き方の再考で安心感を大幅に向上

    老後の経済的な安心感を高める有効な方法は、収入源を確保し続けることです。60歳や65歳で完全に仕事を辞めるのではなく、働き方を見直すことで、資産寿命を延ばすことができます。

    65歳以降も働くメリット

    65歳以降も働き続けることには、金銭面と精神面の両方でメリットがあります。

    【金銭的なメリット】

    • 資産の取り崩し開始を遅らせられる: 働くことで得られる収入を生活費に充てることで、貯蓄や運用資産に手を付けるタイミングを遅らせることができます。これにより、資産がより長く複利効果の恩恵を受けることができます。
    • 年金額を増やせる可能性がある: 会社員として厚生年金に加入し続ける場合、70歳まで保険料を納めることで、将来受け取る年金額を増やすことができます。

    【精神的なメリット】

    • 社会とのつながり: 仕事を通じて社会との接点を持ち続けることは、孤立を防ぎ、生活に張り合いをもたらします。
    • 健康維持: 定期的に外出して体を動かし、頭を使うことは、心身の健康維持にもつながります。

    フルタイムで働く必要はなく、週に数日のパートタイムや、自身の経験を活かせる業務委託など、体力やライフスタイルに合わせた柔軟な働き方を選択することが可能です。少しでも収入があるだけで、老後の安心感は向上します。

    年金繰下げ受給の検討

    公的年金は、原則として65歳から受給が開始されますが、受給開始時期を66歳から75歳までの間で遅らせる「繰下げ受給」を選択できます。

    繰下げ受給の最大のメリットは、1ヶ月繰り下げるごとに年金額が0.7%増額されることです。

    例えば、70歳まで5年間繰り下げると年金額は42%(0.7% × 60ヶ月)、75歳まで10年間繰り下げると最大で84%(0.7% × 120ヶ月)も増額されます。この増額率は生涯にわたって適用されます。

    65歳以降も働き続けて収入がある場合、年金を受け取らなくても生活できるため、繰下げ受給を選択しやすくなります

    ただし、繰下げ待機期間中は年金を受け取れないため、待機期間中の生活費をどう賄うかという課題があります。また、長生きできなければ、繰り下げずに早くから受け取ったほうが総受給額が多くなる可能性もあります。

    自身の健康状態や貯蓄額、働き方のプランなどを総合的に考慮し、何歳から年金を受け取るのが有利になるかを検討することが鍵となります。

    繰下げ受給は、長生きリスクに備えるための強力な選択肢の1つといえるでしょう。

    アッパーマス層が避けるべき失敗パターン

    アッパーマス層には、まとまった資産があるからこそ陥りやすい落とし穴が存在します。

    ここでは、豊かな老後を迎えるために必ず避けるべき3つの失敗パターンを解説します。これらのパターンを事前に知っておくことで、大切な資産を失うリスクを回避できます。

    早期リタイアで資産を使い果たす

    アッパーマス層に到達すると、「もう働かなくても生活できるのでは」と考え、早期リタイア(FIRE)を検討する人もいるかもしれません。

    しかし、3000万円〜5000万円の資産で完全に仕事を辞めてしまうのはリスクが高い選択です。

    資産を維持しつつFIREを実現するには、前述の4%ルールに従い、年間支出を投資元本の4%未満に抑える必要があります。逆算すると、投資元本は年間支出の25倍必要です。仮に年間支出を360万円(月30万円)とした場合、9000万円の資産が必要になる計算です。

    インフレや想定外の医療費・介護費などのリスクに備えるなら、必要な資金はさらに増えます。65歳以降は年金収入が発生しますが、早期リタイアすれば年金自体が減ってしまうことも考慮しておかなければなりません。

    3000万円~5000万円の資産では、30年以内に資産を使い果たしてしまうリスクが高くなります。早期リタイアは、準富裕層や富裕層といった、さらに上の資産階層に到達してから検討するのが現実的です。

    アッパーマス層の段階では、完全に仕事を辞めるのではなく、働き方を変えながら収入を得続ける「サイドFIRE」などを目指すのも選択肢の1つと考えられます。

    金融機関の勧誘商品に安易に乗る

    退職金などでまとまった資産を持つシニア世代は、銀行や証券会社にとって「優良顧客」と見なされ、熱心な営業を受けることが多くなります。しかし、金融機関から勧められる商品が、必ずしも自身にとって最良の選択とは限りません

    金融機関は、自社の利益(手数料)が高い商品を優先的に勧める傾向があります。以下のような商品には注意が必要です。

    • 手数料の高い投資信託やファンドラップ
    • 仕組みが複雑でリスクが分かりにくい仕組債や変額保険

    これらの商品は、パンフレットや説明資料が見栄えよく作られており、実態以上に魅力的に感じてしまうことがあります。しかし、高い手数料は長期的なリターンを圧迫し、複雑な商品は予期せぬ損失を招く可能性があります。

    「銀行の担当者がいうから安心」と安易に判断せず、提案された商品のリスクやコストを十分に理解することが鍵となります。第三者の専門家(IFAなど)にセカンドオピニオンを求めるのも有効な対策です。

    生活水準を上げすぎる

    アッパーマス層に到達し、資産に余裕ができたからといって、安易に生活水準を上げてしまうのは危険です。一度上げた生活水準を元に戻すのは、心理的に困難だからです。

    例えば、高級車に乗り換えたり、頻繁に海外旅行に行ったり、高価な外食を繰り返したりする生活が当たり前になると、支出はどんどん膨らんでいきます。

    収入がなくなった老後も同じペースで支出し続ければ、資産はあっという間に減少してしまいます。

    「いつの間にか富裕層」になったサラリーマンの多くは、資産が1億円を超えても、生活様式はマス層に近い堅実な暮らしを続けているという特徴があります。 彼らは、給与収入の範囲内で家計を管理し、資産が増えたからといって衝動的な消費に走ることはありません。

    老後の生活を長く安定させるためには、資産額に惑わされず、身の丈に合った生活を維持することが大切です。特別な贅沢は計画的に行い、日常の支出はしっかりとコントロールする意識を持ち続けましょう。

    まとめ

    アッパーマス層は、純金融資産3000万円〜5000万円を保有し、多くの世帯よりは経済的に恵まれた位置にいますが、それだけで老後が安泰とは限りません

    インフレや医療・介護費の増大、長生きリスクなど、さまざまな不確定性に備える必要があります。

    豊かな老後を実現するためには、資産をただ取り崩すのではなく、資産運用で増やす「攻め」の戦略と、支出を管理し資産の目減りを防ぐ「守り」の戦略をバランスよく実践することが不可欠です。自身の状況を正確に把握し、計画的に資産寿命を延ばしていく意識を持ちましょう。

    まずは、自身の年金受給額や老後の生活費をシミュレーションすることから始めてみてはいかがでしょうか。現状を把握することが、安心できる未来への第一歩となります。

    自身の老後資金に少しでも不安を感じるなら、まずは専門家の視点から客観的なアドバイスを受けてみませんか。簡単な質問に答えるだけで、自身に合った資産運用のヒントが見つかります。

     »老後資金の不足リスクと最適な運用方法を3分で診断


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    監修
    高橋 明香
    • 高橋 明香
    • ファイナンシャルアドバイザー/CFP®認定者

    みずほ証券(入社は和光証券)では、20年以上にわたり国内外株、債券、投資信託、保険の販売を通じ、個人・法人顧客向けの資産運用コンサルティング業務に従事。2021年に株式会社モニクルフィナンシャル(旧:株式会社OneMile Partners)に入社し、現在は資産運用に役立つコンテンツの発信に注力。1級ファイナンシャル・プランニング技能士、一種外務員資格(証券外務員一種)保有。

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    執筆
    マネイロメディア編集部
    • マネイロメディア編集部
    • お金のメディア編集者

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