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50歳以上のねんきん定期便「見込額」の正しい読み方|老後資金計画に活かすポイント

50歳以上のねんきん定期便「見込額」の正しい読み方|老後資金計画に活かすポイント

年金2026/05/21
  • #50代
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»あなたの年金はいくら?老後に不足する金額をシミュレーション 

50歳を過ぎて届く「ねんきん定期便」。記載された「見込額」をそのまま信じて老後計画を立てている人もいるかもしれません。

実は、見込額と実際の手取り額が異なることもあるため、計算の前提を理解しないと計画にズレが生じる可能性があります。

本記事では、50歳以上のねんきん定期便の見込額を正しく読み解き、確かな老後資金計画に活かすためのポイントを専門家が解説します。

この記事を読んでわかること
  • 50歳以上のねんきん定期便に記載される「見込額」の計算前提
  • 見込額から天引きされる税金や社会保険料の種類と手取り額の目安
  • 見込額を正確な老後資金計画に活かすための具体的なステップ


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50歳以上のねんきん定期便は何が違う?

毎年誕生月に届く「ねんきん定期便」ですが、実は50歳を境に記載内容が変わります

老後が近づく50歳以上の人にとっては、より具体的で将来の計画に直結する情報が記載されるため、記載内容の違いを理解しておくことが欠かせません。

50歳未満と50歳以上で、何がどう違うのかを解説します。

(参考:1.「ねんきん定期便」の概要

50歳未満は「これまでの実績に基づく見込額」

50歳未満の人に届くねんきん定期便には、「これまでの加入実績に応じた年金額」が記載されています。これは、あくまで過去に納付した保険料の実績だけを基に計算された金額です。

将来の加入状況や収入の変化は一切反映されていないため、実際に65歳から受け取れる年金額とは異なります。老後の生活設計の参考にするには、情報が不十分といえるでしょう。

50歳以上は「60歳まで加入前提の見込額」が記載

50歳以上の人に届くねんきん定期便に記載された見込額は、現在の加入条件(収入など)が60歳まで継続すると仮定して計算された予測値です。

過去の実績だけでなく、将来の予測が含まれているため、50歳未満のものより具体的に老後の収入をイメージできます。

老後資金計画を立てる上で、基本となる重要な情報です。

59歳の封書版はさらに詳しい

35歳、45歳、そして59歳の「節目年齢」には、ハガキではなく封書でねんきん定期便が届きます。

年金の請求を間近に控えた59歳の封書版は、これまでの年金加入履歴のすべてが記載されており、情報の網羅性が高いのが特徴です。

具体的には、これまでの厚生年金保険における標準報酬月額の月別状況や、国民年金保険料の全期間の納付状況などを確認できます。

年金記録に漏れや誤りがないかを確認する最後の機会として、必ず内容を隅々までチェックしましょう。

見込額の計算前提を正しく理解する

ねんきん定期便に記載されている「見込額」は、あくまで特定の仮定に基づいて算出された予測値です。

この前提を理解せずに鵜呑みにしてしまうと、実際の受給額と乖離が生まれ、老後資金計画が狂ってしまう可能性があります。

見込額がどのような前提で計算されているのか、3つのポイントに分けて詳しく見ていきましょう。

「60歳まで現在の条件で加入」が前提

重要な前提は、見込額が「現在の加入条件(働き方や収入)が60歳まで継続する」と仮定して計算されている点です。

例えば、55歳で早期退職して国民年金に加入した場合、それ以降に届くねんきん定期便では60歳まで国民年金に加入したと仮定して見込額を計算します。

・早期退職をした場合、国民年金への加入が必要です
・早期退職後に届く定期便では、退職を反映した年金見込額が届きます
・国民年金1号、3号に該当する人で仕事をしていない場合は、仕事をしていない(=厚生年金でなく国民年金)ことを前提とした数字になります

給与水準が横ばいで推移する仮定

厚生年金加入者の見込額は、現在の給与水準が60歳まで変わらないという仮定で計算されています。しかし、多くの企業では50代後半に役職定年などを迎え、給与が下がるケースも少なくありません。

ポイントの解説

もし将来的に給与が下がることが予想される場合、老齢厚生年金の受給額は給与に連動するため、実際の受給額はねんきん定期便の見込額よりも減少します。

自身のキャリアプランや勤務先の制度を考慮して、見込額を補正して考えることが大切です。

60歳以降も働く場合は受給額が増える

ねんきん定期便の見込額は、あくまで60歳までの加入を前提としています。

そのため、60歳以降も厚生年金に加入して働き続ける場合、その分の保険料が加算され、実際の年金受給額は見込額よりも増えることになります。

近年は高年齢者雇用安定法の改正により、65歳までの雇用確保が義務化され、70歳までの就業機会確保が努力義務となっています。

60歳以降も仕事を続けることで、より豊かな老後生活の実現につながる可能性があります。

なお、61歳以降に送付されるねんきん定期便では、「作成時点の年金加入実績」を基に年金額を計算しています。

(参考:「ねんきん定期便」(ハガキ)の見方(50歳以上の方)|日本年金機構


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見込額は「手取り」ではない|天引きされる4つのお金

ねんきん定期便に記載されている見込額は、税金や社会保険料が引かれる前の「額面」金額です。給与と同じように、実際に振り込まれる「手取り」額は、見込額から税金や社会保険料などが天引きされた後の金額になります。

老後の生活設計を立てる際は、この手取り額をベースに考えることが不可欠です。具体的に何が天引きされるのかを確認しましょう。

所得税

公的年金は「雑所得」として所得税の課税対象となります。ただし、受給者の年齢や年金額に応じて「公的年金等控除」が適用されるため、全額が課税対象になるわけではありません。

ポイントの解説

年金額から基礎控除や公的年金等控除、社会保険料控除、人的控除(扶養控除等申告書を提出した場合)を差し引いた後の金額に対して、所得税が課税されます。

生命保険料控除や医療費控除などを受ける場合には確定申告が必要です。

住民税

所得税と同様に、公的年金は住民税の課税対象にもなります。前年の所得を基に計算され、年金から天引き(特別徴収)されるのが一般的です。

所得税と住民税を合わせて、年金から天引きされます。

国民健康保険料(または後期高齢者医療保険料)

年金受給者も医療保険制度に加入する必要があり、保険料が年金から天引きされます。

74歳までは国民健康保険、75歳からは後期高齢者医療制度に加入し、それぞれの保険料を納めることになります。保険料は前年の所得や自治体によって異なります。

介護保険料

65歳以上の人は、介護保険の第1号被保険者となり、介護保険料を納める義務があります。この保険料も原則として年金から天引きされます。

保険料額は、居住する市区町村や本人の所得段階によって決定されます。

実際の手取りは額面の8割程度

これらの税金や社会保険料を合計すると、一般的に年金の手取り額は額面の8割から9割程度になるといわれています。

ただし、扶養家族の有無や他の所得、居住する自治体によって異なるため、あくまで目安として捉えてください。正確な老後資金計画のためには、額面の見込額ではなく、手取り額を想定して計算することが必須です。

50歳以上のねんきん定期便で確認すべき6つのポイント

50歳以上のねんきん定期便は、老後の生活設計を具体化するための情報が詰まった重要な書類です。

見込額だけでなく、他の項目にも目を通すことで、より多角的に自身の年金状況を把握できます。

ここでは、確認すべき6つのポイントを解説します。

老齢年金の見込額(年額)

重要な項目が「老齢年金の種類と見込額」です。国民年金(老齢基礎年金)と厚生年金(老齢厚生年金)それぞれの見込額が年額で記載されています。

この合計額が、65歳から受け取れる年金の基本額となります。まずはこの数字をしっかりと把握し、老後の収入の柱として認識することが第一歩です。

70歳・75歳まで繰下げた場合の増額

年金の受け取りは、原則65歳からですが、66歳以降に遅らせる「繰下げ受給」を選択できます。繰り下げると、1月あたり0.7%ずつ年金額が増額されます。

ポイントの解説

ねんきん定期便には、70歳(42%増)と75歳(84%増)まで繰り下げた場合の年金見込額も記載されています。自身の健康状態や資産状況によっては、繰下げ受給も選択肢の1つとなるため、増額後の金額も確認しておきましょう。

ただし、繰下げ受給には、長生きできなかった場合に受給総額が少なくなる可能性や、受給額が増えることで税金・社会保険料の負担が増える場合があるといった注意点もあります。

加給年金と振替加算

ねんきん定期便には、加給年金と振替加算の金額は記載されていません。加給年金と振替加算は、厚生年金に20年以上加入していた人とその配偶者などが一定要件を満たした場合、老齢年金に加算されます。

振替加算の金額はあまり多くありませんが、加給年金の年額は42万3700円(2026年度)と高額です。

加算対象になるかどうかを確認しておきましょう。

これまでの加入期間

老齢年金を受け取るためには、原則として保険料納付済期間や免除期間などを合算した「受給資格期間」が10年(120ヶ月)以上必要です。

ねんきん定期便の「これまでの年金加入期間」で、この受給資格期間が120ヶ月を満たしているかを確認しましょう。

万が一、期間が不足している場合は、厚生年金に加入して働いたり、60歳以降の国民年金任意加入などで期間を満たす必要があります。

これまでの保険料納付額

これまでの保険料納付額」には、今までに納付した国民年金保険料と厚生年金保険料の累計額が記載されています。

厚生年金保険料については、会社負担分は含まれず、被保険者である本人が負担した分のみが表示されます。自分がこれまでどれだけの保険料を納めてきたかを把握するための参考情報となります。

最近の月別状況(直近13ヶ月)

裏面に記載されている「最近の月別状況」では、直近13ヶ月間の保険料の納付状況や、厚生年金保険の標準報酬月額などを確認できます。

転職や働き方の変更、姓の変更などがあった場合、記録に漏れや誤りが生じやすいポイントです。記載内容に間違いがないか、注意深く確認することが重要です。

»あなたの老後は年金で足りる?本当の不足額をシミュレーション

より正確な見込額を知る方法

老後資金や将来の生活設計を考えるうえで、「自分はいくら受け取れるのか」をできるだけ正確に把握しておくことは重要です。

年金見込額は簡易的なシミュレーションでも確認できますが、加入状況や働き方によって実際の受給額は変わります。

ねんきんネットで詳細シミュレーション

日本年金機構が運営する「ねんきんネット」を利用すれば、より詳細な年金見込額のシミュレーションが可能です。

ねんきんネットは、パソコンやスマートフォンからいつでも自身の年金記録を確認できるサービスで、さまざまな条件を設定して将来の受給額を試算できます。

ねんきん定期便に記載されているアクセスキーを使えば、簡単に登録できます。今後の働き方や年収、受給開始年齢などを自由に変更して試算できるため、複数のライフプランを比較検討する際に役立ちます。

60歳以降も働く場合の試算

60歳以降も厚生年金に加入して働く場合、年金額は増加します。どのくらい増えるのか、おおよそは簡単な計算で把握できます。

  • 増える年金額(年額)の目安 = 60歳以降の平均年収 × 働く年数 × 0.55%

例えば、60歳から65歳までの5年間、平均年収300万円で働いた場合、年金額は約8万2500円(300万円 × 5年 × 0.55%)増える計算になります。

ねんきんネットを使えば、より正確なシミュレーションが可能です。

早期退職や収入減の場合の試算

将来、早期退職役職定年などで60歳を前に収入がなくなったり、減少したりする場合、年金額は現在の見込額より少なくなります。退職後や減収後の年金減少額の目安も、前述の計算式で試算できます。

減る年金額(年額)の目安 = 減少する年収額 × 収入が減る年数 × 0.55%

例えば、55歳で役職定年となり、60歳までの5年間の年収が300万円減少する場合、年金額は、減収前に届いたねんきん定期便の見込額より約8万2500円(300万円 × 5年 × 0.55%)減ることになります。

こうした将来の収入変化を織り込んで、より現実的な年金額を把握することが鍵となります。

見込額を老後資金計画に活かす3つのステップ

ねんきん定期便で把握した年金見込額は、具体的な老後資金計画を立てるための出発点です。

見込額をただ眺めるだけでなく、以下の3つのステップに沿って計画に落とし込むことで、漠然とした老後の不安を解消し、今から何をすべきかを明確にすることができます。

手取り額(額面の8割)で月額を計算

最初のステップは、年金見込額(年額)を、月々の手取り額に換算することです。前述の通り、年金からは所得税、住民税、社会保険料などが天引きされます。

手取り額は額面の8割から9割程度が目安となるため、まずは保守的に「見込額 × 0.8」で年間の手取り額を算出します。そして、金額を12で割ることで、1月あたりの手取り年金額が把握できます。この金額が、老後の基本的な収入となります。

老後の生活費と比較して不足額を把握

次に、算出した月々の手取り年金額と、自身が想定する老後の生活費を比較します。

2025(令和7)年度生活保障に関する調査|生命保険文化センター」によると、夫婦2人で最低限の生活を送るために必要な金額は平均で月額23万9000円、ゆとりある生活を送るためには月額39万1000円が必要とされています。

自身のライフスタイルに合わせて「どのような老後を送りたいか」を具体的にイメージし、必要な生活費を見積もりましょう。

手取り年金額が生活費を下回る場合、差額が「老後に向けて準備すべき不足額」となります。

繰下げ受給や60歳以降の就労を検討

不足額が明らかになったら、差額を埋めるための対策を検討します。主な対策として、年金の「繰下げ受給」と「60歳以降の就労」が挙げられます。

ポイントの解説

繰下げ受給を選択すれば、月々の年金額を増やすことができます。また、60歳以降も働き続けることで、年金額を増やしつつ、年金以外の収入源を確保できます。

これらの対策で不足額をどの程度カバーできるかをシミュレーションし、それでも足りない分については、iDeCoやNISAなどを活用した資産形成で準備することも選択肢となります。

ただし、これらの制度は投資を通じて資産形成を目指すものであり、元本割れのリスクがある点には注意が必要です。

年金定期便の見込額に関するよくある質問

ここでは、ねんきん定期便の見込額に関して、多くの人が抱く疑問についてQ&A形式で解説します。

Q. 見込額は実際の受給額と同じ?

同じではありません。50歳以上の人に届くねんきん定期便の見込額は、あくまで「現在の加入条件が60歳まで続く」という仮定で計算された予測値です。

今後の働き方や収入の変化、将来の年金制度改正など、さまざまな要因によって実際の受給額は変動する可能性があります。1つの目安として捉えることが大事です。

Q. 60歳以降も働くと年金は増える?

はい、増えます。50歳以上の人のねんきん定期便の見込額は60歳までの加入を前提としているため、60歳以降も厚生年金に加入して働くと、加入期間に応じて老齢厚生年金が増額されます。

働き続けることで、老後の収入をより手厚くすることが可能です。

Q. 繰下げ受給でどれくらい増える?

年金の受け取りを1月遅らせるごとに、受給額が0.7%増額されます。

例えば、70歳(5年繰下げ)から受け取る場合は42%増、上限である75歳(10年繰下げ)から受け取る場合は84%増となります。

ただし、この増額率は生涯変わらない一方、繰下げ待機期間中は年金を受け取れないことや、受給額が増えることで税金や社会保険料の負担が増える場合がある点には注意が必要です。

50歳以上のねんきん定期便には、70歳と75歳で受け取る場合の試算額も記載されています。

まとめ

50歳以上に届くねんきん定期便は、老後の生活を具体的に考えるための重要な情報源です。

記載されている「見込額」は、現在の収入が60歳まで続くという仮定で計算された額面金額であり、税金や社会保険料が引かれる前の数字です。

見込額を正しく理解し、手取り額に換算した上で、自身の理想とする老後の生活費と比較することが、現実的な資金計画の第一歩となります。不足額が明らかになった場合は、繰下げ受給60歳以降の就労NISAやiDeCoを活用した資産形成など、対策を検討しましょう。

ねんきん定期便をきっかけに、自身の年金記録と向き合い、豊かなセカンドライフに向けた準備を始めてみてはいかがでしょうか。

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監修
西岡 秀泰
  • 西岡 秀泰
  • 社会保険労務士/ファイナンシャルプランナー

同志社大学法学部卒業後、生命保険会社に25年勤務しFPとして生命保険・損害保険・個人年金保険販売を行う。保有資格は社会保険労務士と2級FP技能士。2017年4月に西岡社会保険労務士事務所を開設し、労働保険・社会保険を中心に労務全般について企業サポートを行うとともに、日本年金機構の年金事務所で相談員を兼務。

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執筆
マネイロメディア編集部
  • マネイロメディア編集部
  • お金のメディア編集者

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