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60代独身女性の貯蓄額はいくら?データで見る実態と老後に必要な準備を徹底解説

60代独身女性の貯蓄額はいくら?データで見る実態と老後に必要な準備を徹底解説

貯蓄2026/07/21
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60代を迎え、おひとりさまの老後資金に不安を感じていませんか?周りの人がどれくらい貯蓄しているのか、自分は足りているのか気になる人も多いでしょう。

本記事では、60代独身女性の貯蓄額のリアルな実態から、必要な老後資金の目安、今からでも間に合う具体的な対策まで、お金の専門家がわかりやすく解説します。

この記事を読んでわかること
  • 60代独身女性の貯蓄額の平均は1364万円だが、中央値は300万円となっているため、貯蓄額300万円程度の人が多いと考えられる
  • 必要な老後資金は持ち家なら約1200万円、賃貸なら約2700万円が目安(厚生年金の場合)
  • 60代からでも「長く働く」「年金繰下げ」「資産運用」などで資産寿命を延ばすことが可能


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60代独身女性の貯蓄額|平均と中央値の実態

セカンドライフを目前にした60代の独身女性は、一体どれくらいの金融資産を持っているのでしょうか。まずは公的な調査結果から、平均貯蓄額と中央値、そして貯蓄ゼロ世帯の割合など、リアルな実態を見ていきましょう。

60代単身世帯の平均・中央値

金融経済教育推進機構(J-FLEC)の「家計の金融行動に関する世論調査(2025年)」によると、金融資産を保有している60代単身世帯の平均金融資産保有額は1978万円、中央値は913万円です。

一方で、金融資産を保有していない世帯も含めたデータでは、平均額が1364万円、中央値は300万円となります。金融資産非保有世帯が30.4%存在することが、全体の数値を押し下げています。

より実態に近い数値とされる中央値が300万円であることから、多くの60代独身女性が、老後資金に対して何らかの対策が必要な状況にあることがうかがえます。

調査対象

平均貯蓄額

平均貯蓄額

中央値

中央値

金融資産保有世帯のみ(2025年)

平均貯蓄額

1978万円

中央値

913万円

金融資産非保有世帯を含む(2025年)

平均貯蓄額

1364万円

中央値

300万円

平均と中央値の差から見る貯蓄格差

60代単身世帯の貯蓄額は、平均1364万円に対して中央値が300万円と、1000万円以上の開きがあります。これは、一部の富裕層が平均値を引き上げていることを示しており、多くの人にとって平均額は実感からかけ離れた数値といえるでしょう。

ポイントの解説

より深刻なのは、金融資産を全く保有していない、いわゆる「貯蓄ゼロ」の世帯が30.4%も存在する点です。これは60代独身者のおよそ3人に1人が、年金や退職金以外に頼れる資産がない状況であることを意味します。

中央値の300万円という金額も、老後を安心して暮らすには十分とはいえません。多くの60代独身女性が、老後に向けた資産形成において厳しい現実に直面していることが、データから浮き彫りになっています。

年代別に見る貯蓄額の推移

単身世帯の貯蓄額は、年代が上がるにつれてどのように変化するのでしょうか。金融経済教育推進機構(J-FLEC)の調査(2025年)によると、貯蓄額の中央値は40代で100万円50代で120万円60代になると300万円へと増加します。

40代・50代

この時期は、住宅ローンの返済や自己投資など、支出が多い一方で、老後を見据えた資産形成を始める時期でもあります。しかし、中央値が100〜120万円にとどまっていることから、多くの人が貯蓄に苦労している様子がうかがえます。

60代

退職金の受け取りや、子どもの独立による教育費負担の軽減などにより、可処分所得が増え、貯蓄額が伸びる傾向にあります。60代は、本格的な老後生活に入る前の「最後の貯め時」といえるでしょう。

年代

平均貯蓄額

平均貯蓄額

中央値

中央値

40代

平均貯蓄額

859万円

中央値

100万円

50代

平均貯蓄額

999万円

中央値

120万円

60代

平均貯蓄額

1364万円

中央値

300万円

60代独身女性に必要な老後資金の目安

60代独身女性が安心して老後を過ごすためには、具体的にいくら必要なのでしょうか。必要額は、住まいの状況(持ち家か賃貸か)や、受け取れる年金の種類(国民年金か厚生年金か)によって変動します。ここでは、それぞれのケースにおける老後資金の目安を解説します。

持ち家なら1200万円が目安

持ち家(住宅ローン完済)の場合、老後の住居費は主に固定資産税や修繕費となり、賃貸に比べて毎月の支出を抑えられます。

総務省の家計調査(2025年)によると、65歳以上の単身無職世帯の住居費を除く毎月の支出の平均は約15万円です。厚生年金受給者の女性(会社員や公務員だった女性)の平均的な受給額は月約11万円となっており、毎月の不足額は4万円です。65歳から90歳までの25年間で計算すると、必要な老後資金の総額は以下のようになります。

(月15万円 - 月11万円) × 12ヶ月 × 25年 = 1200万円

生活費をもう少し切り詰めたり、年金額が平均より多かったりすれば、必要額は1000万円程度に収まる可能性もあります。ただし、これはあくまで基本的な生活費の不足分です。

持ち家の場合には、家賃はかかりませんが、別途住宅の修繕費がかかるため、その分を準備しておく必要があります。

なお、毎月の生活費以外に、医療費や介護費なども準備しておいた方が安心です。

賃貸なら2700万円が目安

賃貸住宅に住み続ける場合、家賃が継続的に発生するため、持ち家よりも毎月の生活費が多くかかることが多くなります。

仮に、家賃を含む生活費を月20万円とすると、年金受給額が月約11万円の場合、毎月の不足額は9万円です。65歳から90歳までの25年間で計算すると、必要な老後資金の総額は以下のようになります。

(月20万円 - 月11万円) × 12ヶ月 × 25年 = 2700万円

なお、賃貸では持ち家でかかる住宅の修繕費や固定資産税が発生しません。持ち家との差は、実際にはもっと小さくなります。

上記の計算は、老後も同じ家賃の住居に住み続けることを前提としています。将来的に高齢者向けの賃貸住宅へ住み替える場合、入居一時金や家賃の変動も考慮に入れる必要があります。都市部では家賃相場が高いため、3000万円以上の準備が必要になるケースも少なくありません。

必要額は年金受給額で変わる

老後に必要な自己資金額を左右する最大の要因は、公的年金の受給額です。年金には、働き方によって加入する制度が異なる「国民年金」と「厚生年金」の2種類があります。

  • 国民年金(老齢基礎年金):自営業者やフリーランス、専業主婦などが加入します。2026年度の満額(40年間保険料を納付した場合)は年額84万7300円、月額にすると約7万円です。
  • 厚生年金(老齢厚生年金):会社員や公務員が加入し、国民年金に上乗せして支給されます。受給額は現役時代の収入や加入期間によって異なり、独身女性の平均的な受給額は月11万1000円程度が1つの目安とされています。
ポイントの解説

仮に持ち家の場合で比較してみましょう。厚生年金受給者の必要額1200万円でした。国民年金のみの受給者の場合には、不足額が月8万円(15万円-7万円)となり、25年間で2400万円の準備が必要になります。

自身の年金見込額を「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」で正確に把握することが、老後資金計画の第一歩です。

(参考:老齢年金ガイド
(参考:令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況 令和7年 12 月 厚生労働省年金局


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シミュレーション|60代独身女性の老後資金は足りる?

ここまでのデータをもとに、60代独身女性の平均的な貯蓄額で、果たして老後資金は足りるのかをシミュレーションしてみましょう。貯蓄額は、金融資産非保有世帯を含む平均額1364万円と、より実態に近い中央値300万円を基準に考えます。

持ち家×厚生年金の場合

必要な老後資金の目安:約1200万円

このケースでは、平均貯蓄額1364万円程度の貯蓄があれば生活費は不足しませんが、中央値の300万円では約900万円も不足する結果となります。

平均程度の貯蓄がある人でも、突発的な医療費や介護費、住宅の修繕費などを考慮すると、決して安泰とはいえません。中央値に近い貯蓄額の人は、退職後も働き続ける、生活費を切り詰めるなどの対策が不可欠です。

賃貸×厚生年金の場合

必要な老後資金の目安:約2700万円

賃貸暮らしの場合、平均貯蓄額の1364万円では約1336万円不足します。中央値の300万円では、約2400万円もの大幅な不足となり、厳しい状況です。

厚生年金を受給できる人であっても、賃貸の場合は家賃負担が重くのしかかります。老後の家計を安定させるためには、退職後も長く働き続けるか、より家賃の安い物件への住み替え地方への移住なども視野に入れた抜本的な対策が必要となるでしょう。

持ち家×国民年金の場合

必要な老後資金の目安:約2400万円

自営業やフリーランスだった人が国民年金のみを受給する場合、老後の資金計画は一層厳しくなります。持ち家であっても、必要な老後資金は約2400万円にのぼります。

平均貯蓄額の1364万円では約1036万円、中央値の300万円では約2100万円も不足します。このケースでは、平均的な貯蓄額では全く足りず、老後破綻のリスクが高いといわざるを得ません。

iDeCoや国民年金基金などで、現役時代から手厚く上乗せの準備をしてこなかった場合、70歳以降も働き続けるなど、生涯現役で収入を得続ける覚悟が必要になります。

賃貸×国民年金の場合

必要な老後資金の目安:約3900万円

賃貸暮らしで国民年金のみの受給というケースが、多くの老後資金を必要とします。必要額は約3900万円にも達し、平均貯蓄額1364万円では約2536万円、中央値300万円では約3600万円と、計算上は不足額がかなり大きくなります。

国民年金のみで家賃負担がある場合には、平均的な貯蓄額でも老後を乗り切ることは簡単ではありません。収入を増やすこと、生活費を抑えることなども含めて、総合的な生活設計を見直しましょう。

無料診断であなたの老後資金をチェック

60代からの老後資金は、年金や退職金、貯蓄だけで足りるかを早めに確認しておくことが大切です。

必要な金額は、生活費や医療費、介護費、住まいの状況によって異なります。マネイロの無料診断では、現在の資産状況をもとに、将来必要になる老後資金の目安を確認できます。

無料診断結果イメージ

※無料診断結果イメージ

まずは、自分の老後資金がどのくらい必要かチェックしてみましょう。

貯蓄額別|60代独身女性の老後準備

現在の貯蓄額によって、老後に向けた準備の進め方は異なります。ここでは、貯蓄額を3つのステージに分け、それぞれに適した対策と考え方を解説します。自身の状況と照らし合わせ、具体的なアクションプランを立てる参考にしてください。

貯蓄1000万円未満

60代独身女性の中央値(300万円)を含むこの層は、老後資金に不安を抱えているケースが多いでしょう。最優先すべきは、収入を増やし、支出を徹底的に見直すことです。

  • 収入確保:可能であれば65歳以降も働き続け、年金の繰下げ受給も検討しましょう。1年繰り下げるごとに年金額は8.4%増額されるため、70歳まで繰り下げれば42%も増やすことができます。
  • 支出削減:家計簿アプリなどを活用して収支を「見える化」し、通信費や保険料などの固定費から見直しましょう。不要なサブスクリプションサービスの解約も効果的です。
  • 資産運用:まずは生活防衛資金を確保した上で、余剰資金があればNISAのつみたて投資枠などを活用し、少額からでも長期的な資産形成を始めることが望ましいです。

貯蓄1000万〜2000万円

平均貯蓄額(1364万円)に近いこの層は、持ち家で厚生年金を受給できる場合は、ある程度の目処が立っている可能性があります。しかし、賃貸暮らしや将来の医療・介護費を考えると、必ずしも安心とはいえません。「資産の寿命」をいかに延ばすかがテーマとなります。

  • 働き方の見直し:フルタイムでなくても、パートタイムなどで働き続けることで、資産の取り崩しペースを緩やかにできます。
  • 資産運用の本格化:預貯金の一部をNISAなどを活用した投資に回し、インフレに負けない資産運用を始めましょう。ただし、60代からの運用はリスクを取りすぎず、安定性の高い債券なども組み入れた分散投資を心がけることが欠かせません。
  • ライフプランの具体化:旅行や趣味など、老後にやりたいことをリストアップし、どれくらいの費用がかかるか見積もることで、より具体的な資金計画を立てられます。

貯蓄2000万円以上

この層は、老後資金の準備において比較的優位な立場にあります。しかし、油断は禁物です。インフレや予期せぬ支出によって、資産が想定より早く目減りするリスクは常に存在します。「守りながら増やす」資産管理が重要になります。

  • ポートフォリオの見直し:資産全体のリスク許容度を再評価し、株式などのリスク資産と、国債などの安定資産のバランスを最適化しましょう。年齢とともに、徐々に安定資産の比率を高めていくのが基本です。
  • 取り崩し戦略の策定:資産をどのように取り崩していくか、具体的な計画を立てましょう。「定額取り崩し」や「定率取り崩し」など、いくつかの方法があります。運用を続けながら計画的に取り崩すことで、資産寿命を延ばすことが可能です。
  • 専門家への相談:FP(ファイナンシャルプランナー)やIFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)など、お金の専門家に相談し、客観的なアドバイスを受けるのも有効です。自分では気づかなかったリスクや、より効率的な資産管理の方法が見つかるかもしれません。

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60代独身女性が見落としやすい老後の支出

老後資金を計画する際、基本的な生活費だけでなく、突発的または徐々に増加する支出を見落としがちです。独身女性の場合、すべてを自分で備える必要があります。ここでは、60代独身女性が注意すべき3つの支出について解説します。

医療費・介護費

年齢を重ねるにつれて、病気や怪我のリスクは高まります。厚生労働省の調査によると、生涯にかかる医療費の約6割は65歳以降に集中しています。公的医療保険や高額療養費制度があるため自己負担は抑えられますが、それでも想定外の出費となる可能性があります。

さらに、介護が必要になった場合の費用も深刻です。生命保険文化センターの「2024(令和6)年度 生命保険に関する全国実態調査」によると、介護に要した費用(公的介護保険サービスの自己負担費用を含む)のうち、住宅改造や介護用ベッドの購入など一時的な費用の合計は平均で115万円、月々の費用は平均で6万7000万円となっています。

独身の場合、頼れる家族がいない可能性も考慮し、介護サービスや施設入居の費用を具体的に見積もっておくことが欠かせません。

自宅の修繕・住み替え費用

持ち家の場合でも、老後の住居費がゼロになるわけではありません。経年劣化による外壁や屋根の修繕、キッチンや浴室などの水回りのリフォームには、数百万単位のまとまった費用がかかることがあります。将来的にバリアフリー化が必要になる可能性も考えておくべきでしょう。

賃貸の場合は、更新料の支払いが続くほか、高齢になると入居審査が厳しくなり、希望の物件に住み替えられない「賃貸難民」のリスクも指摘されています。サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)などへの住み替えを検討する場合、入居一時金や月額利用料など、新たな費用が発生します。

これらの将来的な住居関連費用も、老後資金計画に組み込んでおく必要があります。

インフレによる生活費の増加

見落としがちですが、重要なのがインフレ(物価上昇)のリスクです。現在の1000万円が、20年後も同じ価値を持つとは限りません。例えば、年2%のインフレが続くと、20年後にはお金の価値は現在の約67%にまで目減りしてしまいます。

ポイントの解説

老後生活は20年、30年と長期にわたるため、インフレの影響は無視できません。預貯金だけで資産を保有していると、知らず知らずのうちに資産価値が下がり、計画していた生活が送れなくなる可能性があります。

このインフレリスクに備えるためには、預貯金だけでなく、物価上昇に連動して価値が上がりやすいとされる株式や投資信託などを資産の一部に組み入れる「資産運用」の視点が重要になります。

60代からでもできる老後資金対策

「もう60代だから手遅れかも…」と諦める必要はありません。人生100年時代といわれる現代では、60代からでも資産寿命を延ばすためにできることは数多くあります。ここでは、今日から始められる具体的な4つの対策を紹介します。

働き続けて収入を確保する

直接的で効果的な対策は、60代以降も働き続けることです。総務省の「労働力調査(2025年平均)」によると、60〜64歳女性で65.8%、65〜69歳でも46.1%の人が就業しており、シニア世代が働き続けることは一般的になっています。

働くことで得られる給与は、年金以外の安定収入として家計を支え、貯蓄の取り崩しを遅らせる効果があります。また、70歳までは厚生年金に加入できるため、厚生年金に加入して働き続けることにより、受け取る年金額を増やすことも可能です。

健康で働く意欲がある限り、年齢にかかわらず収入を得る道を探ることが、豊かな老後につながります。

年金の繰下げ受給を検討する

公的年金は原則65歳から受給できますが、受給開始を66歳以降に遅らせる「繰下げ受給」という制度があります。繰り下げを選択すると、1ヶ月あたり0.7%、1年で8.4%も年金額が増額され、増額率は生涯続きます。

例えば、70歳まで5年間繰り下げると年金額は42%増え、上限である75歳まで繰り下げると84%も増額されます。60代のうちに働くなどして収入があり、すぐに年金に頼らなくても生活できる場合は、繰下げ受給は有効な選択肢です。将来にわたって安定した収入を確保するための強力な手段といえるでしょう。

(参考:年金の繰下げ受給|日本年金機構

固定費を見直す

収入を増やすと同時に、支出を減らす努力も欠かせません。毎月決まって支払いが発生する「固定費」の見直しは、一度行えば節約効果が長く続くため効果的です。

見直すべき固定費の代表例は以下の通りです。

  • 通信費:スマートフォンの料金プランを格安SIMに見直す
  • 保険料:保障内容が現状に合っているか確認し、不要な特約を解約する
  • サブスクリプションサービス:利用頻度の低いサービスは解約する
  • 住居費:住宅ローンの繰り上げ返済を検討する(持ち家の場合)

これらの見直しは、月数千円の節約でも年間にすれば数万円単位になります。退職して収入が減る前に、家計のスリム化を図っておきましょう。

資産運用でインフレに備える

前述の通り、インフレは預貯金の価値を実質的に目減りさせます。このリスクに対抗するためには、資産運用が有効な手段となります。

60代からの資産運用は、リターンを狙うのではなく、インフレ率を上回る利回りを目指し、資産を守りながら緩やかに増やしていくことが基本です。

NISA(少額投資非課税制度)を活用すれば、運用益が非課税になるという税制上のメリットも受けられます。人生100年時代においては、60代からでも20年、30年という長期的な視点での運用が可能です。まずは少額からでも、資産の一部を運用に回すことを検討してみましょう。

60代独身女性におすすめの資産管理

60代からの資産管理は、現役時代とは異なる視点が求められます。資産を増やすことよりも、「守りながら、いかに長く活用していくか」が重要になります。ここでは、60代独身女性が知っておきたい資産管理のポイントを解説します。

現預金だけで保有するリスク

安全資産として現預金を確保することは大切ですが、資産のすべてを現預金で保有することにはリスクが伴います。最大の敵はインフレです。物価が上昇すると、同じ金額で買えるモノやサービスが減り、実質的にお金の価値が目減りしてしまいます。

例えば、年2%のインフレが続いた場合、1000万円の価値は10年後には約820万円、20年後には約673万円にまで減少します。老後が長期化する現代において、インフレから資産価値を守るためには、現預金だけでなく、インフレに強いとされる資産を組み合わせることが不可欠です。

NISAを活用する

60代からの資産管理において、NISA(少額投資非課税制度)は有効な選択肢の一つです。NISA口座内での投資から得られた利益(分配金、譲渡益)が非課税になるため、効率的に資産を運用できます。

60代からのNISA活用では、以下のような戦略が考えられます。

  • つみたて投資枠:毎月少額を積立投資し、長期的なインフレ対策と資産の緩やかな成長を目指す。
  • 成長投資枠:退職金などのまとまった資金の一部を、比較的安定した投資信託や高配当株などに投資し、定期的なインカム(分配金・配当金)を得る。
ポイントの解説

NISAは年齢の上限なく利用でき、いつでも引き出しが可能です。ただし、NISAで運用する金融商品は預貯金とは異なり、元本が保証されていません。株価や為替の変動により、投資した資産の価値が元本を割り込むリスクがあります。

生活費の補填が必要になった際に、計画的に取り崩しながら残りの資産で運用を続けるといった柔軟な使い方ができるのもメリットです。

債券など安定資産も活用する

60代の資産運用では、リスクを抑えることが肝となります。そこで活用したいのが、債券などの安定資産です。債券は、国や企業が資金を借り入れるために発行する「借用証書」のようなもので、株式に比べて価格変動が比較的小さいとされています。

個人向け国債

国が発行するため発行体の信用リスクは低いとされ、年0.05%(税引前)の最低金利が設定されているのが特徴です。満期まで保有すれば元本割れはありませんが、発行から1年経過後の中途換金時には、直前2回分の各利子(税引前)相当額に0.79685を乗じた金額が差し引かれます。

社債

企業が発行する債券で、国債と比べて信用リスクは高くなりますが、その分高い利子が期待できます。購入する際は、企業の信用度を示す「格付け」を確認することが必須です。

資産の一部をこれらの安定資産で保有することで、ポートフォリオ全体の安定性を高め、市場が変動した際の下落リスクを和らげる効果が期待できます。株式や投資信託といったリスク資産と組み合わせることで、バランスの取れた資産管理を目指しましょう。

公的制度・無料で使える相談先

老後のお金に関する不安は、一人で抱え込む必要はありません。国が用意している公的な支援制度や、専門家の知識を無料で活用できるサービスがあります。これらを上手に利用して、賢く老後に備えましょう。

利用できる公的支援制度

日本では、医療費や介護費の負担が過大にならないよう、いくつかの公的支援制度が設けられています。これらは申請が必要な場合が多いため、制度内容を理解しておくことが欠かせません。

  • 高額療養費制度:1ヶ月の医療費の自己負担額が上限を超えた場合、超えた分が払い戻される制度です。上限額は年齢や所得によって決まります。
  • 高額介護サービス費:1ヶ月の介護保険サービスの自己負担額が上限を超えた場合に、超えた分が払い戻されます。
  • 高額医療・高額介護合算療養費制度:医療保険と介護保険の両方の自己負担額を年間で合算し、基準額を超えた場合に払い戻しが受けられます。

これらの制度を活用することで、万が一の際の経済的負担を軽減できます。居住している市区町村の窓口や、加入している健康保険組合に問い合わせてみましょう。

ねんきんネットで受給額を確認する

老後資金計画を立てる上で重要なのが、自身の正確な年金見込額を把握することです。日本年金機構が提供する「ねんきんネット」を利用すれば、24時間いつでもパソコンやスマートフォンから、最新の年金記録や将来の年金見込額を確認できます。

ねんきんネット」では、繰上げ受給や繰下げ受給をした場合の年金額もシミュレーションできるため、自身のライフプランに合わせた最適な受給開始時期を検討するのに役立ちます。まだ利用したことがない人は、ぜひ登録して自身の年金情報を確認してみましょう。

FP・IFAへ相談するメリット

老後資金の計画や資産運用について、「何から始めたらよいかわからない」「自分一人で考えるのは不安」という人は、お金の専門家であるFP(ファイナンシャルプランナー)やIFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)に相談するのも1つの方法です。

専門家は、年金、貯蓄、ライフスタイル、将来の希望など、さまざまな要素を多角的に考慮し、一人ひとりに合った具体的なマネープランを提案してくれます。家計の見直しから、NISAやiDeCoの活用法、リスクを抑えたポートフォリオの組み方まで、専門的な知識に基づいた客観的なアドバイスが受けられます。

多くの相談窓口では、初回の相談を無料で行っています。専門家の力を借りることで、漠然とした将来への不安を解消し、安心してセカンドライフを迎えるための具体的な道筋を描くことができるでしょう。

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60代独身女性の貯蓄に関するよくある質問

ここでは、60代独身女性の貯蓄や老後資金に関してよく寄せられる質問にお答えします。多くの人が抱える疑問を解消し、自身の状況に合わせた計画を立てるための一助としてください。

Q. 平均1364万円あれば安心?

一概に安心とは言えません。この金額はあくまで平均値であり、一部の富裕層によって引き上げられています。より実態に近い中央値は300万円であり、差があります。

安心できるかどうかは、自身のライフスタイル住まいの状況(持ち家か賃貸か)、そして受け取れる年金額によって異なります。例えば、賃貸暮らしで国民年金のみを受給する場合、平均額の1364万円の貯蓄があっても、それだけでは老後資金が不足する可能性が高いです。

自身の状況に合わせたシミュレーションが必要です。

Q. 老後資金はいくら必要?

必要な老後資金に、すべての人に当てはまる決まった金額はありません。目安となる金額は、以下の式で算出できます。

(老後の毎月の支出 - 毎月の年金収入) × 12ヶ月 × 老後の年数(例:25年)

持ち家か賃貸かどのような生活を送りたいかによって「毎月の支出」は変わります。また、現役時代の働き方によって「毎月の年金収入」も異なります。まずは自身の「ねんきんネット」などで年金見込額を確認し、理想の老後生活をイメージして、自分だけの必要額を計算してみることが大切です。

Q. 60代から資産運用を始めても遅くない?

遅くありません人生100年時代といわれる現代では、60歳からでも90歳まで生きるとすれば30年もの時間があります。これは十分に「長期投資」といえる期間です。

60代からの資産運用は、若い世代のようにリスクを取って資産を増やすのが目的ではありません。インフレで資産価値が目減りするのを防ぎ、貯蓄を取り崩しながらも緩やかに運用を続けることで「資産の寿命」を延ばすことが主な目的となります。

NISAなどの非課税制度を活用し、リスクを抑えた分散投資から始めてみるのがよいでしょう。

まとめ

60代独身女性の貯蓄額は平均1364万円ですが、中央値は300万円であるため、実際には貯蓄額300万円程度の人が多いことがうかがわれます。老後に必要な資金額は住まいや年金額によって1000万円台から3000万円以上と変動するため、平均額の貯蓄を持っているだけで安心することはできません。

まずは「ねんきんネット」などで自身の年金見込額を正確に把握し、理想の生活費から不足額を計算することが第一歩です。もし資金が不足している場合でも、60代からできる対策はあります。長く働く、年金の繰下げ受給を検討する、固定費を見直す、そしてNISAなどを活用してインフレに負けない資産運用を始めるなど、複数の対策を組み合わせることが必須です。

人生100年時代、60代はまだ先の長い人生のスタート地点です。漠然とした不安を抱えるのではなく、自身の状況を正しく把握し、具体的な行動を起こすことで、安心して豊かなセカンドライフを送りましょう。

自身の状況に合わせた、より具体的な老後資金プランを知りたい人は、専門家への相談も有効です。まずは手軽なシミュレーションから、将来のお金について考えてみませんか。

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※本記事の内容は記事公開時や更新時の情報です。現行と期間や条件が異なる場合がございます

※本記事の内容は予告なしに変更することがあります。予めご了承ください

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監修
森本 由紀
  • 森本 由紀
  • ファイナンシャルプランナー/AFP(日本FP協会認定)/行政書士

行政書士ゆらこ事務所(Yurako Office)代表。愛媛県松山市出身。神戸大学法学部卒業。法律事務所事務職員を経て、2012年に独立開業。メイン業務は離婚協議書作成などの協議離婚のサポート。離婚をきっかけに自立したい人や自分らしい生き方を見つけたい人には、カウンセリングのほか、ライフプラン、マネープランも含めた幅広いアドバイスを行っている。法律系・マネー系サイトでの記事の執筆・監修実績も多数。

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マネイロメディア編集部
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  • お金のメディア編集者

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